
以前、こちらのトピックスでもご紹介した映画『時には懺悔を』が、2026年8月28日、ついに全国公開されました。
公開を楽しみにしていたので、昨日、実際に映画館へ足を運び、観てきました。
今回の映画は、探偵が登場する作品というだけではありません。
『下妻物語』『告白』『渇き。』などで知られる中島哲也監督が、打海文三さんの小説を原作に描いた作品で、主演の西島秀俊さん、満島ひかりさんをはじめ、黒木華さん、宮藤官九郎さん、柴咲コウさん、佐藤二朗さん、役所広司さんなど、非常に豪華なキャストが出演しています。
物語は、ひとりの探偵が殺害されたことをきっかけに、元同僚の探偵・佐竹と助手の聡子が事件を調べていくところから始まります。
調査を進めるうちに、9年前に起きた新生児誘拐事件へとたどり着き、そこからさまざまな人間の過去や、それぞれが抱えているものが少しずつ明らかになっていきます。
詳しい内容については、これから映画をご覧になる方のために、ここでは控えておきますが。
探偵という仕事をしているからこそ、違った見方ができた
今回、映画を観ながら特に気になったのは、やはり「探偵の仕事がどのように描かれているか」という部分でした。
映画なので、もちろん現実とは違う部分も。
探偵が主人公の作品ですから、事件が起き、調査が始まり、次々と新しい事実が出てきます。
実際の探偵業務は、もっと地道です。
張り込みをしても、何時間も何も起きないことがあります。
対象者がいつ動くのか分からないまま、車の中でじっと待つ。
尾行をして、対象者の行動を確認する。
必要な場面では写真や動画を撮影し、後から時間や場所、行動を整理する。
そして、それらを依頼者にとって意味のある「証拠」としてまとめていく。
華やかに見える仕事ではありますが、実際には地道な作業の積み重ねです。
私自身、探偵業務に携わって長くなりますが、現場に出るたびに感じるのは、「結局、基本が一番大事だ」ということです。
映画を観ながら、そんな普段の調査現場を思い出す場面もありました。

映画の中の探偵と、現実の探偵
映画の探偵は、事件の真相を追い、さまざまな情報を集めながら物語を進めていきます。
一方、現実の探偵に寄せられる相談は、もっと身近なものがほとんどです。
「夫が浮気しているかもしれない」
「妻の行動が以前と変わった」
「誰かと会っているようだが、誰なのか分からない」
「家族がどこにいるのか分からない」
「昔の知人を探したい」
こうした相談から調査が始まります。
そして、調査をしていく中で、依頼者が知らなかった事実が見つかることがあります。
もちろん、必ずしも依頼者が想像していた結果になるとは限りません。
むしろ、調査をしてみたら「思っていたような事実はなかった」というケースもあります。
探偵の仕事は、依頼者が望んでいる答えを作ることではありません。
確認できた事実を、そのままお伝えすること。
私は、そこが探偵という仕事の非常に重要な部分だと思っています。
私自身が映画を観て感じたこと
ここからは、今回実際に映画を観て、私自身が感じたことを書いてみたいと思います。
今回、ガルエージェンシーが監修した部分がよく現れていたと感じたのは、探偵学校や尾行について描かれている場面でした。
満島ひかりさん演じる聡子探偵は、調査員としての基本をしっかり理解しているような動きが印象的でした。
「本物の探偵からレクチャーを受けていないと、ここまでの動きはなかなかできないだろうな」と思う場面もあり、とてもリアルで驚かされました。
探偵を長くやっている人間からすると、こうした細かい部分を見るのも、この映画の面白さの一つだったと思います。
また、映画を観終わった直後に感じたのは、単純な「面白かった」という感想だけではありませんでした。
探偵が登場する映画ということで、最初は調査の部分を中心に観るつもりでした。
しかし、実際に観てみると、人間そのものについて考えさせられる作品だったと思います。
特に印象に残ったのは、依頼者と探偵との関係性です。
探偵として長く仕事をしていると、調査を通して、さまざまな人の人生を見ることになります。
普段は他人には見せない顔。
家族にも話していないこと。
誰にも言えない悩み。
そして、自分自身でもどうしたらいいのか分からなくなっている人。
そうした部分に、仕事として関わることがあります。
だからこそ、今回の映画を観ていて、単純に「探偵が事件を解決する映画」とは違った印象を持ちました。

依頼者と探偵との関係性。
この部分では、映画ならではの踏み込んだ表現がされています。
私自身、これまで何千人という依頼者と契約を交わしてきました。
相談内容は一つとして同じものはなく、まさにケースバイケースです。
さまざまな方がいて、さまざまな事情があります。
今回、佐藤二朗さん演じる米本探偵については、本物の探偵という立場から見ると、依頼者との関係性に少し踏み込みすぎている部分は感じました。
ただ、それでも「こういう探偵がいてもおかしくない」と思える部分もあり、理解できるところはあります。
ただ、やはりプロとして仕事をするのであれば、調査には仕事として向き合い、結果で依頼者に応える。
それが本物の「良き探偵」なのではないかと、私は思います。
私は探偵という仕事を長く続けていますが、調査を依頼される方には、それぞれに事情があります。
同じ浮気調査でも、依頼する理由は人によってまったく違います。
離婚を考えている人もいれば、離婚は考えていない人もいます。
事実だけを知りたい人もいます。
自分自身が納得するために調査をする人もいます。
そのため、私たち探偵に求められているのは、単純に「対象者を尾行して写真を撮る」ことだけではないと思っています。
依頼者がなぜ調査を必要としているのか。
調査によって何を明らかにしたいのか。
その先に何を考えているのか。
そこまで考えた上で調査を行うことが大切です。
ガルエージェンシーが映画に協力
今回の『時には懺悔を』には、私たちガルエージェンシーも探偵監修・撮影協力などの形で関わっています。
実際の探偵社が作品に協力しているということもあり、探偵業務について、できるだけ現実に近い部分を感じてもらえる作品になっていると思います。
映画を観て、「探偵って実際にはどんな仕事をしているんだろう?」と思った方もいるかもしれません。
実際の探偵の仕事は、映画ほど派手ではありません。
しかし、依頼者にとっては、その調査結果が人生を左右するほど大きな意味を持つことがあります。
だからこそ、一つひとつの調査に責任を持って取り組む。
それは、探偵を始めた頃から今まで変わらない、私自身の考えです。

探偵に興味がある方は、ぜひ一度映画館へ
『時には懺悔を』は、探偵やミステリーが好きな方だけでなく、人間関係や家族についても考えさせられる作品だと思います。
私自身、探偵という仕事をしているからこそ、一般の方とは少し違った視点で映画を観た部分もあったかもしれません。
これからご覧になる方には、ぜひ「探偵映画」という視点だけではなく、それぞれの登場人物が何を抱えているのかという部分にも注目して観ていただきたいと思います。
そして映画を観たことで、実際の探偵の仕事に興味を持った方。
「自分の場合も探偵に相談できるのだろうか」と思った方。
そのような場合は、映画の世界と現実の探偵業務の違いも含めて、私たちがご説明します。
相談したからといって、必ず調査を依頼しなければならないわけではありません。
まずは現在抱えている問題をお聞かせください。
長年、探偵としてさまざまな調査に携わってきた経験をもとに、今後どのような方法が考えられるのか、一緒に整理するところから始めることもできます。
映画『時には懺悔を』をきっかけに、探偵という仕事に少しでも興味を持っていただけたら嬉しく思います。
私も今回、久しぶりに「探偵が主人公の映画」を、探偵という立場から楽しませてもらいました。
まだ公開されたばかりですので、興味のある方は、ぜひ劇場でご覧になってみてください。

